Interview with President

シモン・ペレス大統領へのインタビュー

  •  
     
    イスラエルの首相職を2度経験し、現大統領であるシモン・ペレス氏が和平、イラン核問題、およびフェイスブックについて語る
                    
    (タイムズ誌ウェブ版time.com/10questions より)

     ※ペレス大統領の写真は2007年の来日時のものです。

                                    

    ―ご自身が道を開いたオスロ和平協定、もしくはイスラエルの原子力プログラム、どちらをより誇りに思っていますか?
     
    和平です。
     
     
    ―和平が失敗に終わった今でもですか?
     
    失敗してはいません。まだ完了していないだけです。私はこれから10年の間に、和平の実現は起こりえると考えています。もし双方が親善に必要な条件を整えることができるなら、非常に近い時期に実現するでしょう。なぜなら、すでにその土台はできあがっているのであり、また主旨については両者間の合意があるからです。
     
     
    ―「アラブの春」は結局チュニジアとエジプトにおいてイスラム主義勢力の政権掌握をもたらしましたが、それがイスラエルとの関係にどう影響していくでしょうか?
     
    私はそれについては楽観的です。イスラムには様々な解釈があり、穏健なイスラムもあれば強硬なイスラムもあり、そして原理主義的なイスラムもあります。ですから、私たちはどういった主義をもつ集団であるのかを見極めないといけないのです。
     
     
    ―長くハト派と知られる方として、イスラエルはイランの各施設を先制攻撃すると予測していますか?
     
    その質問については、我々はイランが核保有国となることを阻止するために、あらゆる可能性を使うべきであると思います。もし経済制裁や政治的制裁をもって核開発を止められるなら、それがはるかに望ましいです。取ろうとしている手段について、全てを明らかにする必要があるとは考えていません。
     
     
    ―再度お尋ねしますが、イスラエルは核兵器を保有しているのですか?
     
    イスラエルは核兵器について公言する意図はありません。にも関わらず、人々が私たちの核兵器保有を危惧するなら、どうしようもありません。それは抑止力なのです。こんなお話をお聞かせしましょう。アムル・ムーサ氏がエジプトの外務大臣の職にあった際、ある日私のところに来て、「シモン、親友じゃないか。ディモナに私を連れて行って、そこで何が起きているのか見せてくれ」と言いました。私の答えはこうでした。「アムル、君の頭は大丈夫か?君と一緒にあそこに行って、何もないことを見せてあげる事はできるよ。そうすれば君の心配もなくなるが、私はこの仕事を辞めないといけなくなるだろうね。」
     
     
    ―最近フェイスブックに参加されましたね。これが多くの人の関心を集めていることをご存知ですよね?
     
    私は平和は政府間だけで作り出されるものではなく、人間同士の間でも作り出されるべきと考えています。これはフェイスブックが登場する以前には、不可能なことでした。
     
     
    ―フェイスブック以前には平和は不可能であったとおっしゃるのは。
     
    人々の間での平和です。人々は直接、政府の仲介がなくても、対話することができます。そして今日では、政治家が人々を統治する以上に、政治家は人々によって存在の条件を課せられているのです。
     
     
     
    ―トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、タイム誌の取材に答えて、トルコとイスラエルの関係は、イスラエルが2010年のマヴィ・マルマラ号事件におけるトルコ国籍者の死亡について謝罪しない限り正常化することはないと述べています。イスラエルが謝罪しないことには理由があるのでしょうか?
     
    私たちは解決する道を模索しなければいけませんが、嘘をつくことはできません。私はその船に乗り込んだ兵士たち全員に会いました。彼らは誰の命も奪わないため、最大限の努力を払ったのです。あの場で起こったことは正当防衛の問題です。
     
     
     
    ―現在、イスラエル国籍を持つユダヤ人は約600万人いますが、一方そうでないユダヤ人が700万人以上もいます。そして、海外に暮らすイスラエル人がおよそ100万人います。これは、イスラエルの地に帰還してきたかつてのユダヤ人の姿とは異なるように見えますが、イスラエルの将来について、これらの統計は何を示しているでしょうか?
     
    考えてください、私たちは4000年以上も存在し続け、うち2000年は離散の時代にありました。中東には、イスラエル以外に固有の言語を話す国は一つもありません。私たちの国が64年前に建国されたとき、人口はわずか65万人でした。おっしゃるように、現在私たちは少し流れに逆らって泳いでいるのかも知れませんが、それでも泳ぎ続けているのです。イスラエルは独自の魅力をもつ国ですし、世界でもっともドラマチックな国でもあります。国民全員が責任感をもっており、皆が議論しあっています。私自身もイスラエルを離れている時には退屈を感じることをご存知でしょうか?
     
     
    ―もしイスラエル以外の国の首脳になれるとしたら、どの国を選びますか?
     
    私はアメリカも好きですし、フランスも好きです。でももしフランス人になりたいかと聞かれたら?わかりません。
     
     
    (英語の記事全文の閲覧には購読登録が必要です。http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,2109787,00.htmlをご覧ください)
     
  •